育児と仕事 両立後押しを
1月3日付朝刊。県が新年度から、女性の就労環境整備に向け、技能習得の促進や就農研修場の整備など支援策の充実を検討している、という記事が掲載された。広瀬勝貞知事のコメントには「女性が存分に活躍できるよう、子育て支援と同時に、仕事を選択し、能力が発揮できる環境づくりに力を入れる」とあった。新年早々、良いニュースに触れ、うれしく思った。
総務省の2017年就業構造基本調査では、県内の女性の就業率は25~29歳で8割を超えるが、30歳代では7割台に低下する。出産や子育てで離職しているためとみられ、これは育児負担が女性に偏っている実態を表している。女性が子育てをしながら仕事を続けるためには、社会全体で支える仕組みがとても重要だ。
厚生労働省が02年に20~34歳だった全国の男女を対象に毎年、実施している追跡調査では、夫の休日の家事や育児時間が長くなるほど、第2子以降の生まれる割合が高くなる傾向があるという(第14回調査)。男性の家事や育児への参画を進めるには、育児休業が取得しやすい環境を整え、父親同士の情報交換の場をつくることが大切だ。そういった機運を高めるため、新聞に期待するものは大きい。
今年1月、日出町で初めて、父親の育児や家事への参加を促す自主サークル「日出ッPA!」が発足した(1月28日付朝刊)。第1回の活動の内容が紹介され、父親がベビーオイルを使ったマッサージ方法を学ぶ写真や「子どもも喜んでくれたので良かった。次も参加したい」という参加者の感想に心が温まった。大人が子どもの成長から学ぶことは多く、子育てはとても楽しい。もっと子育てに参加したいと感じている男性も多いと思う。
わが家では、子どもの習い事の送迎と宿題の見直しは夫の役割。「仕事も子育ても男女で等しく関わることができる」。これが本来あるべき姿であると思う。そういった社会が実現できれば、自然と女性の社会進出が進み、少子化にも歯止めがかかると思う。
県内各地で取り組まれている子育て支援や、男性の育児参加を推進する動き。今後も本紙で、どんどん紹介してほしい。そのことが、男女の別なく、だれもが育児と仕事を両立できる社会の実現を後押ししていくのだ。
令和2年3月15日 大分合同新聞朝刊掲載