身柄引受人は借金も支払う?
Q 知人の子が覚醒剤を使用して逮捕されました。知人から刑事裁判の証人や身柄引受人になってほしいと頼まれました。知人の子には借金もあります。身柄引受人になった場合、借金を支払わなければなりませんか。
A 刑事裁判の身柄引受人や情状証人に、民事上の連帯保証人のような責任は発生しませんので、借金を支払う必要はありません。
なお、逮捕後でも起訴後でも国選弁護人(貧困などの理由で国が付ける弁護人)が選任されるようになりました。私選弁護人(被疑者らが自分の費用で選任する弁護人)も選任可能です。 刑事事件の流れを簡単に説明します。
【逮捕・勾留】 逮捕された被疑者は、警察署の留置場に留置されます。逮捕後48時間以内に警察から検察官に送致の手続きがされ、その後24時間以内に検察官は裁判官に勾留請求をします。裁判官は、被疑者が住居不定だったり、「罪証隠滅や逃亡の恐れがある」と判断すると10日間の勾留を決定します。やむを得ない場合は、さらに10日間以内で勾留延長ができます。
【公判・保釈】 勾留期間の満了日までに検察官は起訴か不起訴かを決めます。覚醒剤関係の事件のほとんどが起訴されます。法律上は、起訴されると保証金を納付して保釈が可能ですが、実際は第1回の公判期日に被告人(被疑者は起訴されると被告人と呼ばれる)が事実を全て認めて保釈されるケースが多いです。 保釈請求には、裁判所へ「保釈請求書」と「身柄引受書」の提出が必要です。身柄引受は、道義的な責任を負うのみで、民事上の身元保証制度とは全く性質が異なります。裁判で証人と被告人を調べ、検察官や弁護人の意見を聞き判決へ向かいます。
平成29年6月8日 大分合同新聞朝刊掲載
道義的な責任負うのみ