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大分合同新聞 法律あれこれ「家屋敷相続人の兄に多額の借金」 清源万里子弁護士/記事PDF

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家屋敷相続人の兄に多額の借金

Q. 私の父が家屋敷を残して10日前に亡くなりました。父に借金はありません。相続人は私と兄の2人です。兄には多額の借金があります。家屋敷を守りたいのですが、どのようにしたらいいでしょうか。


A. 兄に相続放棄をしてもらうのがよいでしょう。その結果、父の家屋敷は弟のあなたが単独相続することになります。

【相続の放棄】相続人は、被相続人の権利や義務を全て承継しますが、被相続人に多額の借金がある場合、相続人は、自己の意思に反して多額の借金を背負うことになり、相続人に酷となります。そこで、民法は相続人に相続しない自由を認めました。つまり、相続人は、相続開始(被相続人の死亡)を知った時から3カ月以内であれば、家庭裁判所に申述書を提出して相続の放棄をすることができます(民法第938条)。相続の放棄をすると、初めから相続人にならなかったとみなされるので、財産も借金も承継しません。相続人が数人いる場合は、1人だけでも相続放棄はできます。
 なお、被相続人に借金があることが分からずに被相続人の死亡から3カ月が経過してしまった場合は、被相続人の借金の存在を知った時から3カ月以内であれば、相続放棄は認められます(判例)。

【相談について】今回の相談の場合、兄が相続放棄をせずに父の死亡後3カ月が経過してしまえば、兄は単純承認をしたことになり、兄の債権者は、家屋敷の名義が父親のままであっても、家屋敷について、兄の所有権(法定相続分は2分の1)を差し押さえてくるかもしれません。
 もし、兄が相続放棄してくれれば、あなたは家屋敷を単独で相続することができ、兄の債権者から家屋敷を守ることができます。相続放棄は身分行為のため、民法第424条の詐害行為(財産隠し)にはなりません(判例)。父親の借金から逃れるための相続放棄の制度を、本件では父親の家屋敷を守るために利用できるわけです。

3カ月以内に放棄して

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