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大分合同新聞 法律あれこれ「土地の所有権」 清源万里子弁護士/記事PDF

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土地の所有権

Q 自分の所有地として長年管理してきた土地の名義が、亡くなった他人の名義であることが分かりました。土地の所有権を時効取得できると聞いたのですが、どういうものですか。


A 土地を自分の所有地として長年使用している場合、一定の要件((1)、(2))のもとにその土地の所有権を時効取得できます(民法第162条)。長年続いた事実状態を尊重し、法律関係の安定を図るのが趣旨です。

 (1)平穏公然な自主占有
 自主占有は、自分が所有者であると信じて使用することをいい、賃借人の占有(他主占有)は含みません。
 自主占有の認定には、▽事実的支配の有無▽公租公課の負担の有無▽時効成立の結果、所有権を失う真実の権利者に補償や対価が与えられているか▽占有期間▽真実の権利者の異議の有無―などが考慮されます。
 (2)占有の継続
 占有期間は、占有者が善意(自分の不動産であると信じた)で無過失(自分の不動産であると信じることに過失がない)なら10年、それ以外は20年です。
 〈立証責任〉
 占有は「善意、平穏、公然な自主占有」と推定されます(民法第186条)。従って、取得時効の成立を争う側は、自主占有ではないことを主張立証しなければなりません。もっとも、他主占有者の相続人が、独自の自主占有に基づく取得時効の成立を主張する場合は、外形的、客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明する必要があります。
〈特別代理人〉
 所有権移転登記で、名義人の相続人全員の同意が得られなければ取得時効の裁判をすることになります。高齢の相続人に判断能力のない方がいる場合は、成年後見人を選任せず、迅速処理を目的に特別代理人を選任する方法があります。

平成29年10月26日 大分合同新聞朝刊掲載

長年の使用で時効取得

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