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大分合同新聞 法律あれこれ「息子の別れた妻側が慰謝料要求」清源万里子弁護士/記事PDF

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息子の別れた妻側が慰謝料要求

Q. 3カ月前に息子が離婚しました。ところが最近になって、別れた妻側の親族から私宛てに何回も電話連絡があり、「離婚原因は息子にある。だから慰謝料を300万円支払え。息子に支払い能力がないので、息子の親であるあなたに支払い義務がある。自分は弁護士に相談しているので間違いない」と言ってきました。本当なのでしょうか。


 

 A. あなたに支払い義務はありません。 

婚姻破綻について原因がある配偶者(有責配偶者)は、他方配偶者に対して慰謝料を支払わなければなりません。一般的には、暴力を振るった、浮気をした、ギャンブルなど浪費癖のある配偶者が有責となりますが、例えば性格の不一致が原因で離婚する場合には、慰謝料の問題は発生しません。
 本件では単に別れた妻側が一方的に「離婚原因は息子にある」と言っているだけですので、具体的な事情を息子さんから聴く必要があります。もし息子さんから事情を聴いた結果、息子さんに暴力など慰謝料支払い義務の発生原因がある場合でも、支払い義務は息子さんにあり、親族であるあなたに支払い義務は発生しません。
 日本の民法は「個人責任の原則」を採っていますので、息子さん以外の者はたとえ親族であっても責任を問われることはありません。この点を誤解している人がとても多いので注意してください。
 慰謝料の金額についても300万円と一方的に決めつけていますが、金額も具体的事情により異なってきますので、言われたことをうのみにすることは危険です。
 もっとも、第三者である親が子どもに代わって子どもの借金を支払うことはできます(第三者弁済)。つまり、親に支払いを「強制」はできませんが、親が「任意」に支払うことはできるわけです。

親に支払い義務なし

 

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