宗教理由に離婚は可能?
Q. 私の妻が最近ある新興宗教に入信しました。妻は毎日のように集会や布教活動に出掛けて、家事を放棄しています。私や親戚がいくら忠告しても全く効き目がなく、かえって私に入信を強く勧めてきます。このことが原因で妻との間には会話も愛情もなくなりました。宗教を理由に離婚できるでしょうか。
A. 困りましたね。夫婦を結んでいた赤い糸が黄色や白色になった以上、離婚はやむを得ませんね。
【宗教の自由】
ところで、何人にも内心の自由や信教の自由があります。夫と妻の育ってきた環境は違うわけですから、夫婦間で思想や宗教が違うのはむしろ当然かもしれません。従って、思想や宗教が違うというだけでは離婚できません。妻が新興宗教に入信し、布教活動に従事したとしても、そのこと自体は離婚原因にはならないでしょう。
【離婚原因(家庭崩壊)】
しかし、妻が新興宗教にのめり込んだ結果、夫婦関係が悪化し、家庭が崩壊してしまったという場合は別です。家庭崩壊の原因となるような宗教へののめり込みは離婚原因となります。
例えば、(1)妻が従事している布教活動に違法性がある(2)布教活動に明け暮れて家事を放棄したり、家を空けるようになる(3)夫の意思に反して勝手に夫名義で入信申し込みをしてしまう―など、これ以上夫婦生活を継続することが困難と評価される場合です。
本件では妻が家事を放棄し、夫や親戚の忠告に全く耳を貸さず、夫婦間に会話も愛情もなくなったというのですから「婚姻を継続しがたい重大事由」を理由に妻に対して離婚の請求(妻の行為がひどい時は慰謝料も)ができます。もし、妻が外泊を重ねるようなことがあれば「悪意の遺棄」も離婚原因として追加できるでしょう。
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