待機児童、社会問題に
本紙は4月10日付朝刊で、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%」とする政府目標について、共同通信が都道府県議会の女性議員に実施したアンケートで、回答者の7割超が「政治分野では実現不可能」と考えていると報じた。理由は「家庭と議員活動の両立が難しい」がトップ。家庭との両立支援や、一定の議席や候補者を割り当てるクオータ制導入を求める声も目立った。 記事は、1946年に女性が参政権を初行使してから70年たつが、当時は当選者の8・4%を占めた衆院の女性の割合が今なお9・5%と低迷していることを深刻な事態とした。100カ国以上が既にクオータ制を導入して女性議員を大幅に増やしており、日本が世界の潮流から取り残されているとして、安倍政権と各政党は踏み込んだ改革を迫られることなどを指摘している。女性議員が増えない背景に向き合い、増やすためには制度的な後押しが必要であることを訴えるなど、真の「女性活躍推進」に言及していて、頼もしい。 ところで、女性の活躍を妨げる問題の一つに待機児童問題がある。4月8日付の本紙夕刊は、「『安易』政府対策に懸念」の見出しで待機児童問題を取り上げた。「保育園落ちた」のブログをきっかけに、政府は3月末に待機児童解消の緊急対策をまとめた。これに対し、利用者の「預けられればどこでもいいというわけではない」、自治体担当者の「基準緩和では事故リスクが高まってしまう」という懸念の声を伝えた。 「保育園を考える親の会」代表が「安易な基準緩和ではなく、保育士が安心して働ける環境づくりと待遇改善に取り組んでほしい」と述べている通り、保育士の処遇を改善する抜本的対応が必要だ。保育の質が低下し、子どもたちが危険にさらされることがあってはならない。待機児童問題の“実質”に言及した、この報道も評価できる。 女性の活躍推進、待機児童解消、少子高齢化は切り離せない関係だ。待機児童が解消され、出産後も働ける保障があれば、出産への不安が減り、少子化問題の改善につながるだろう。また、待機児童や少子化問題への対応には、女性の視点が有用である。 本紙は、これらの問題は女性特有の問題ではなく、社会全体の問題であることをもっと伝えてほしい。