女性描く連載 楽しみ
楽しみにしている連載が本紙にある。それは木曜日の朝刊に隔週ペースで掲載されている「凜(りん)~RIN~大分に生きる女性たち」だ。
出産、子育て、就職、介護…。人生の分岐点で立ち止まっては、幸せの形を模索する女性たち。家族や地域のために尽くすまなざし、輝く夢を追う姿。しなやかに、ひた向きに生きる女性たちを描いていく」。第1回(7月10日付)の記事の末尾にこのように記されていた。
連載は1回に1人を紹介。年齢も職業も異なる女性たちが、どのようにこれまでを生きてきて、どのような明日を目指しているのかを丁寧かつ端的に伝えている。これまでに登場した10人の背景はさまざまだ。離婚歴がある人、独身者、子育てをしつつ働く人、重い病気や障害がある人…。彼女たちはいろんな選択肢の中から自分の意思で生き方を選択し、それぞれに苦難を抱えながらも今を「凜」と生きている。
ところで、衆議院解散で、国や自治体、大企業に女性登用のための独自の数値目標設定と公表を義務付ける「女性の活躍推進法案」が廃案となった。本紙は11月25日付朝刊で「看板倒れ」の大見出しを添え、「本気度を疑われても仕方がない展開に、関係者は『見せかけだった』と失望し、政府の取り組み失速に懸念の声を上げた」と伝えた。同法案が成立し、女性の社会進出の後押しとなることを期待していた一女性として、廃案は残念でならない。
このような中、ふと連載の女性たちを思うと、彼女たちはこれからもそれぞれに自分の意思で自分の生き方を選択していくのだろうと感じる。活躍法案の廃案は確かに残念だが、これまでも自分の人生を自分の意思と力で生きてきた多くの女性がいることを連載は教えてくれている。
流れが読めない時代だからこそ、一人一人の人間がどのように自身の道を切り開いて生きているのかに触れられることは、同じ今を生きる人々にとって励ましとなるだろう。地元に生きる女性の生き方が伝えられることは、同じ地域に生きる多くの女性に勇気を与えてくれる。女性の活躍推進の第一歩は案外このようなところにあるのかもしれない。この連載は、ぜひ男性にも読んでいただきたい。