女性ゼロ議会解消を
「女性と人権全国ネットワーク」(東京)が、アナウンスなどで選挙活動に関わる女性へのセクハラ・パワハラ被害を明らかにしようと呼びかけたところ、全国から31の事例が寄せられたことが、6月13日付の本紙夕刊に掲載された。被害をなくすため、ルール作りの必要性も指摘した。
セクハラ・パワハラは不法行為だ。加害者は損害賠償責任を負い、会社も責任を負う場合がある。冒頭の記事は、セクハラ・パワハラの実態把握に有用である。一弁護士として、セクハラ・パワハラの被害を訴えたいと思っている労働者側の相談と、セクハラ・パワハラ対策を就業規則に盛り込みたいと考えている会社側の相談が、いずれも年々増加していると感じている。
これは、セクハラ・パワハラに関する知識が広まり、そのようなことを許さない、防止したいという労使双方の意識が高まったことによるものだろう。新聞などマスコミ報道で関連情報や知識を得ている人は多いとみられ、今後もこのような記事の掲載はとても重要である。
ところで、6月28日付の本紙朝刊によれば、全国に1741ある市区町村議会で、女性が1人もいない「女性ゼロ議会」が約2割を占めている。上智大学の三浦まり教授は「いまだに女性ゼロ議会は恥ずかしいことだ」と述べているが、全く同感だ。
地方行政には、少子化対策や育児支援など女性の視点が必要不可欠な課題が多い。紙面には、子どもに障害があり、以前から福祉に関心があった母親の当選事例(青森県)が紹介されているが、子育てや介護の経験のある女性議員の登場に期待を寄せ、また希望を感じた人は少なくないだろう。一女性として「女性ゼロ議会」解消に向けた問題提起の記事は頼もしく感じる。
今から約70年前、女性には選挙権がなかった。しかし、女性の権利意識が高まり、長い歴史を経て、女性は選挙権を得るに至った。この歴史に鑑みれば、「女性ゼロ議会」の解消は実現可能なはずだ。そのためには、女性がセクハラ・パワハラに関する問題や権利の意識を持ち、社会が女性議員の必要性を認識することが大変重要で、新聞が果たす役割は大きいと思う。
本紙には「女性ゼロ議会」の解消に向けた情報提供や問題提起を今後も期待したい。