大分合同新聞 私の紙面批評「社会が子育て認識を」清源万里子弁護士/記事PDF

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犯罪被害者の実情伝わる

 本紙の魅力の一つは、多方面において、子どもに関する記事が多いことだ。 5月11日付夕刊では、県内の子どもたちが携帯型ゲーム機を使ってインターネットに接続している現状を、保護者の約4割が把握できていないことを大きく報じた。2017年度の県青少年ネット利用実態調査で浮き彫りになった“現実”に驚いた方は多いだろう。 さらに、17年には会員制交流サイト(SNS)がきっかけで、性犯罪などの被害に巻き込まれた子どもが全国で1813人いたという警察庁の統計も掲載し、注意を喚起。いずれも子どもを犯罪から守るために保護者や関係機関が認識、共有すべき重要な情報だ。  少子化が進む中、大分合同新聞社は07年度から、地域de子育て応援キャンペーン「こどもっと!」を展開。毎回異なるテーマを設定して特集を組んでいて大変参考になる。子育てに関する知識の提供だけでなく、話題として子育て関係者が触れ合うきっかけにもなるだろう。紙面はカラーの写真やイラストを用いて見やすく、温かい雰囲気も漂って親しみやすい。本年度から掲載ペースが毎月1回へと増えた。 5月25日付朝刊の特集は「悩み抱え込まずに」の見出しで、未就学児がいる家庭に役立つ情報をまとめていた。子どもの発達(発達障害)に関する分かりやすい解説、自治体の相談窓口や支援機関の連絡先も紹介。子育ての悩みを一人で抱え込まずに、相談によって早期対応、改善へとつながるようにという配慮がうかがえた。 弁護士として児童虐待や夫婦間暴力といった問題に携わるが、背景に子育ての負担に対する周囲の“無理解”など複雑な社会問題が横たわっていることが少なくない。子育てに不安や負担を感じたとき、スムーズに適切な支援へつなぐことができれば、未然に防げる問題は多いであろう。 子どもは社会の宝であり、社会全体で守るべきだ。少子化の原因は複合的だと思うが、歯止めをかけるには、子育てしやすい環境づくりが大変重要である。だが、推進するには、子育ての大変さやサポートの必要性を含め、子育てについて社会が正しく認識することが必要である。本紙には、今後も子どもを取り巻く諸問題や解決の糸口など、頼りになる確かな情報を継続して報じていただきたい。

平成30年6月17日 大分合同新聞朝刊掲載