大分合同新聞 私の紙面批評「子育て支援一層充実を」清源万里子弁護士/記事PDF

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子育て支援一層充実を 

 東京医科大の不正入試問題で、内部調査委員会が記者会見して大学への報告書の内容を公表した。その内容を本紙は8日付朝刊で詳報。大学が女子受験生を減点した理由について、報告書は結婚や出産を踏まえ「年齢を重ねるとアクティビティー(活動)が下がる」という考え方があった、と指摘したことが書かれていた。これは女性の活躍を妨げるものであり、憤りを感じた方は多いだろう。

 総務省の労働力調査などによると、15~64歳の女性の就業率は2007年は59・5%だったが、17年には67・4%へ上昇している。しかし、長時間労働を前提とした労働慣行などが依然として根強いという現実がある。仕事と生活の両立ができずに就業の継続やキャリアアップを諦める女性も多く、約6割が第1子の出産を機に離職している。一方、育児や介護などの理由で今は働いてはいないものの、就業を希望している女性は260万人余りに上る。女性が職業面で活躍できるよう推進するには、制度的な後押しが必要だ。

 1日付夕刊のコラム「キーボード」で触れていたように、放課後児童クラブは長期休暇中も利用でき、共働きの家庭などにはありがたい存在だ。その児童クラブの県内の現状を2日付夕刊「探(SAGURU)おおいた」で取り上げた。宿題をする児童と見守る支援員の写真を添え、グラフで示した県内のクラブ数、登録者数、待機児童数の推移は一目瞭然だった。

 予算管理や定員調整、専門資格を持つ支援員の確保など、実質的な運営は保護者や支援員が担い、「負担が大きい」という声が現場にあることや待機児童などの問題を浮き彫りにした。さらに、クラブ間での運営のノウハウや情報の共有を目指し、中津市に放課後児童クラブ連絡協議会が発足したことも紹介していた。

 学校や地域との連携がさらに進んで、クラブの運営に関する不安や課題が改善・解消され、子育て支援が一層充実することを願っている。待機児童の解消に向けて、支援員の労働環境の整備も欠かせない。

 女性の活躍の場が広がり、男女が共に仕事と生活を両立できる社会は、誰もが暮らしやすい社会の実現につながるだろう。本紙には児童クラブの現状と課題、さらに関係機関との連携などについて今後も定期的に報じていただきたい。

平成30年8月26日 大分合同新聞朝刊掲載