メディア掲載

大分合同新聞 法律あれこれ「交流ない養子との離縁」清源万里子弁護士/記事PDF

→記事PDF

交流ない養子との離縁

Q. 私と夫は約30年前に甲と養子縁組をしました。しかし、甲は私たちの面倒を全く見てくれず、1度も同居してくれませんでした。私は現在85歳ですが、甲には私の財産を1円も相続させたくありません。夫は既に他界していますが、甲と離縁できますか。


A. あなたと甲との間で協議離縁が成立するか、裁判上の離縁が認められれば離縁できます。

【協議離縁】
 離縁には、協議離縁、裁判上の離縁があります。協議離縁は、当事者の合意と市役所への届け出で成立します(民法811条1項)。従ってまず、甲と離縁の協議をしてください。甲が合意してくれれば、離縁ができます。

【裁判上の離縁】
 甲が協議離縁に応じなかった場合は、裁判所を利用することになります。この裁判上の離縁には、調停離縁と判決離縁があります。甲がどうしても離縁に応じない場合には、法定離縁原因(1)他の一方からの悪意の遺棄(2)他の一方の生死の3年以上不明(3)その他縁組を継続し難い重大事由の存在(民法814条1項)―を主張して判決離縁を求めることになります。
 10年以上にわたり別居し、精神的・物質的な交流を欠く場合に、(3)の重大事由の存在を肯定した最高裁判所の判例がありますので、30年間も親子の実体がないというあなたのケースでは、判決離縁が認められる可能性が高いと思われます。離縁が成立すれば、あなたの財産が甲に相続されることはなくなります。

 【死後離縁】
 あなたの亡くなった夫と甲が離縁するには、死後離縁といって、生存当事者である甲が家庭裁判所の許可を得て離縁する方法しかありません(民法811条6項)。従って甲の申し立てがなければ、離縁は不可能です。

協議応じぬ場合は裁判に

 

関連記事

最近の記事

  1. 大分合同新聞 私の紙面批評「男性の育児参加が必要」清源万里子弁護士/記事PDF

  2. THE HUMAN [ピンチはチャンス]清源万里子弁護士/記事リンク

  3. 大分合同新聞 私の紙面批評「的確な問題提起に期待」清源万里子弁護士/記事PDF