大分合同新聞 法律あれこれ「離婚後、子どもと会わせてくれない」 清源万里子弁護士/記事PDF

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離婚後、子どもと会わせてくれない

Q. 半年前に妻と協議離婚しました。ところが、3歳の子どもの親権者である妻は、子どもと一度も会わせてくれません。どうしたら会えるのでしょうか。


A. 離婚した後も父子関係は続きますから、子どもと一緒に暮らしていない父親(別居親)が子どもと交流する権利(面会交流権)はあります。面会交流を嫌う母親(監護親)が多いのも事実ですが、子どもが両親から愛されていると感じることは、子どもの健全な成長に必要です。

2011年の民法改正で離婚時に夫と妻が定めるべき子どもの監護についての必要事項の例示として、父親または母親と子どもの面会交流が明記されました(766条1項)。もし協議ができないときは、面会交流の調停(審判)を家庭裁判所に申し立ててください。一緒に暮らす母親への忠誠心から「父親に会いたい」との本音を言えない子どももいます。虐待などの特別な理由がない限り、大人は面会交流の実現をサポートすべきです。
 面会交流の調停が成立しても、子どもを別居親に会わせない監護親が多いのも事実です。11年成立の家事事件手続法では、面会交流や子どもの引き渡しを定める義務について、履行命令(義務の履行を命ずる家庭裁判所の審判)の対象としませんでした。その後、最高裁は13年3月28日の審判で、面会交流の日時または頻度、各回の面会交流時間の長さ、子どもの引き渡しの方法などが具体的に定められているなど、監護親がすべき給付の特定に欠けるところがない場合には間接強制(約束を守らなかった相手に金銭の支払いを命じるもの)ができる旨の決定を下しました。
 また最近、面会交流ができないのは母親の言動が原因であるとして、面会交流を拒否した母親から父親へ親権者を変更した画期的な審判(福岡家裁14年12月4日審判)も出ています。

家裁に調停申し立てを