大分合同新聞 法律あれこれ「親の承諾なく息子が離婚」清源万里子弁護士/記事PDF

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親の承諾なく息子が離婚 

Q. 最近、私の長男Aが離婚しました。2人の孫の親権は嫁のBが持ち、養育料は月に8万円もBに払うのだそうです。こんな大事なことを親の私たちに何の相談もなくAとBの2人だけで勝手に決めて許せません。しかもBは旧姓に戻っていません。旧姓に戻ってほしいと、Bに手紙を出してもいいでしょうか。


 A. 子どもの離婚に関連したさまざまな質問についてお答えします。

 (1)親の承諾
 離婚は夫婦2人の協議によって決めることになっており、結論的には息子さんが離婚することについて親の承諾は必要ありません。ただ心情的には、人は一人で生きているわけではないので、両親への何らかの相談はほしかったですね。  

 (2)親権者の決定と面会交流
 「嫁から孫を奪われた」というような相談もよく受けますが、親権者の指定も離婚内容として夫婦2人で決めることになっています。ただ、親権が取れなかった息子さんの場合も2人の子どもに会うことはできます(面会交流権)。

 (3)養育料
 養育料を幾ら払うかもAとBの夫婦2人で決めることになります。養育料の額については、2人の収入や支出などの諸事情を考慮して決定しますが、一度決めた養育料が高いと思えばAは「減額」の請求が、逆に低いと思えばBは「増額」の請求ができます。
 (2)の面会交流も(3)の養育料の増額ないし減額請求も、2人の協議が調わなければ家庭裁判所に調停を起こすことができます。

 (4)姓の問題
 結婚によって氏(姓)を変えた妻が、離婚しても旧姓に戻らないのは許せないという相談を受けることも多いのですが、妻だったBに旧姓に戻ることを強要することはできません。
 民法第767条第1項は離婚による「当然復氏」(婚姻前の旧姓に戻ること)を規定していますが、1976年の改正で第2項が加えられ、「婚氏続称」が可能となりました。

親権、続称は夫婦で協議