大分合同新聞 法律あれこれ「DV夫から避難したい」清源万里子弁護士/記事PDF

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DV夫から避難したい

 

Q. 私は、夫から毎日のように激しい暴力を振るわれ、10歳の息子と一緒に実家に避難しました。しかし、夫は私の実家にまで押し掛けてきて私と息子を連れ戻そうとします。夫から避難する方法はありませんか。


 A. まずは、あなたの身の安全を確保することが一番大切です。警察や自治体に夫の暴力を相談してください。そして、シェルターを紹介してもらい、避難してください。

施設によっては、子どもは入居できない場合がありますので、関係機関とよく相談してください。子どもだけ児童相談所に一時保護してもらう方法も考えられます。シェルターには2週間程度しかいられませんので、一時保護中に転居先を探す必要があります。

 次に、裁判所に対する保護命令の申し立てが考えられます。保護命令には(1)あなたの身辺へのつきまといやあなたの住居、勤務先などでの徘徊(はいかい)を禁止する「被害者への接近禁止命令」があります。また、この「被害者への接近禁止命令」の実効性を確保するための(2)未成年の子への接近禁止命令(3)被害者の親族等への接近禁止命令(4)電話等禁止命令―があります。このほか(5)退去命令もあります。

 保護命令の申し立てには、原則として警察や支援センターに相談したという事実が必要です。また、暴力によるけがの写真や診断書は大切な証拠となりますので、証拠を集めておいてください。
 保護命令が出ると、裁判所は、警察などに通知します。夫が命令に違反した場合、夫には刑事罰が科せられます。命令の有効期間は、(1)は6カ月間、(2)~(4)は(1)の有効期間中、(5)は2カ月間です。再度の申し立てもできます。

 ドメスティックバイオレンス(DV)被害には、離婚問題や離婚に伴う慰謝料請求、刑事告訴の可否など複雑な問題が絡んでいます。一度専門家に相談してみてください。

保護命令の申し立てを