大分合同新聞 私の紙面批評「家族で読む子ども新聞」清源万里子弁護士/記事PDF

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家族で読む子ども新聞

 子ども新聞「GODOジュニア」を毎回楽しみにしている。当初は月1回の発行で有料だったが、NIE(ニュースペーパー・イン・エデュケーション=教育に新聞を)の推進を目指して2016年11月にリニューアルし、月2回(第2、4土曜日)、本紙の全購読者に無料で届けられるようになった。
 GODOジュニアは、タブロイド判8ページでカラー。「イルカにも一重まぶたと二重まぶたがある」といったユニークな情報を添えて生き物を紹介する「生きもノート」など、写真が奇麗で見やすい。漢字には読み仮名が振られている。さまざまな職場で取材や職業体験をする「わくわくWORK」、お気に入りの本を紹介する「子ども司書のキラリ☆本」など、小学生が参加する企画も多く、子どもが親しみやすいよう随所に工夫が感じられる。
 27号(昨年12月9日付)では「子どもの貧困7人に1人」の見出しで、貧困の影響を取り上げていたが、関連して「子ども食堂」やフードバンクといった支援活動も紹介していて、記事の質は高い。
 近年、学校教育で新聞を教材として活用するNIEの関心が全国的に高まりつつある。また、新聞の活用は若者の活字離れ対策として注目されてもいる。GODOジュニアには、子どもたちに新聞を通して社会の情報に接してほしいという熱意があふれている。
 子どもに分かりやすく、質の高い情報を提供するのは大変だろうが、GODOジュニアを頼りにしている読者は多いと思う。私も28号(同23日付)の特集「すっきり年越し! 年末大掃除にトライ!」で紹介していた“掃除のコツ”を子どもと読み、早速実践。普段は面倒な大掃除を子どもと楽しく行うことができた。
 経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)2009年」によると、子どもたちの総合読解力と新聞の閲読頻度には相関関係があるとされる。新聞の魅力は、インターネットとは異なり、興味の有無にかかわらず一目でさまざまな情報に触れられることだ。家族と新聞を読めば、対話も深まるだろう。小さい頃から新聞に親しむことで、読解力が養われ、興味の対象も広がると思う。未来を担う子どもは社会の宝。GODOジュニアの一層の充実を期待している。

平成30年1月14日 大分合同新聞朝刊掲載